感染者数: 9,847人
(2024年9月8日時点)
(2023年:14,906人)
最終更新日:2024年9月18日
■梅毒の再流行と流行の特徴
最近、梅毒が再び流行していることがニュースでも取り上げられることが増えました。
そのニュースを見たことで梅毒が心配になり受診される方も増えたように感じます。そして、実際に検査で陽性になる方も確実に増えています。
◇梅毒急増
2021年、日本の梅毒患者の届出数(医師は全例を保健所に届け出る義務があります)は7,873人となり、感染症法による調査の始まった1999年以降、最多となりました。
国立感染症研究所の「IDW速報2022年第35週」によると、今年(2022年)の累積届出数は、まだ9月4日までのデータですが 累積8,155人と過去最多だった去年の数値を早くも超えてしまいました。
◇最新情報
いっせいにニュースになったのでご存じの方もおられるかと思いますが、第42週の速報によると、2022年10月23日までの今年の累積報告数が1万人を越えました。
10141人ということです。
◇男女での傾向の違い
2022年の第1四半期(4月6日まで)の届け出数を見ると、男性は幅広い年代で満遍なく多く、25〜49歳まででは5歳刻みで見ていくと210人程度ずつです。
一方、女性はトータルでは男性より少ないものの、20〜24歳で290人と男女全年齢層の中で最多となっており、20代が突出して多くなっています。
若年女性に多いということから、妊娠中に胎児へ感染することも問題になっています(先天梅毒)。
参考:感染症発生動向調査で届け出られた梅毒の概要 >(2022 年4月6日現在)
◇再興感染症としての梅毒
梅毒は、戦後※1)、抗生剤のペニシリンの普及により急速に減少しました。
そして、10年くらい前までは日本ではたまにしか見ることのない病気になっていたのです。
ところが、2010年頃から梅毒の報告が増加し始め、今ではニュースで取り上げられるほどの流行となっています。
ある感染症専門医は、「梅毒は日本における再興感染症」と仰っています。
【再興感染症の定義】
既知の感染症で、すでに公衆衛生上問題とならない程度にまで患者数が減少していた感染症のうち、再び流行し始め患者数が増加した感染症。
◇先天梅毒の注意点
若年女性に流行しているということで妊娠出産時に子供に感染してしまう「先天梅毒」の増加も問題となっています。
妊娠したら必ず妊婦健診で胎児に感染する可能性のある感染症を調べましょう。
そして、父親となる男性も妻が妊娠したら、必ず母子感染する性感染についてしっかり勉強してほしいと思います。
さらに問題となっていることは、妊婦健診を受けない方が増えていることだけでなく、妊婦健診では陰性だったのに、その後梅毒などに感染してしまうケースです。
つまり、健診のあとに夫が梅毒に感染して、さらに妻にうつしてしまっていることが意外と多いようなのです。
妊婦健診での梅毒の検査は妊娠初期に行われることが多いので、その後に感染すると出産まで気づかれずにすり抜けてしまう可能性があるわけです。
実際、性感染症を発症した男性から、「妻が妊娠中なのですが」という相談は意外と多いです。
普段は風俗などで遊んでいなくても、妻の妊娠中に魔が差して遊んでしまう方もいるようです。
しかし、ご理解しておいていただきたいのですが、妻、子供への感染とその結果起きる先天異常などを考えたら、妊活中〜妻の妊娠中は絶対に遊んではだめな時期といってもいいと思います。
特に、梅毒はキスでも伝染る可能性がある上に、大流行中なのですから要注意です!!
※余談ですが、クラミジアは妊婦健診の項目に含まれています。
なのに、同じく子供に影響があるにも関わらず、淋菌は含まれていないことも多いようです。
女性は淋菌もクラミジアも無症状が多いので、検査しないと気づけません。妊娠の際は、できれば淋菌の検査もおすすめします。
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