クラミジアは症状がほとんどないので気がつかないことが多いです。
クラミジアという病気は、すでに感染している人と性的な行為(セックス、オーラルセックス、アナルセックス)をすることで感染してしまう性病の一つです。
感染部位は男性の場合は尿道や肛門、女性の場合は膣、また男女共通としてのどへの感染もあります。
のど:咽頭クラミジアについて >性病の中でも一番感染している人の数が多く、気がつきにくい病気であることも特徴になっています。
クラミジアは肛門性交によって、肛門にも感染します。
肛門クラミジアについて >クラミジアはトラコーマの原因微生物ですが、クラミジアに感染すると男性は尿道炎から精巣上体炎、女性は子宮頸管炎から骨盤内炎症疾患をひきおこします。
クラミジアは主に性器に感染し、その患者数は、日本では全ての性病のなかで最も多い感染症です。
とくに若年層の感染者が多く、5人に4人までが自覚症状がないという報告もみられます。
自覚症状がないままクラミジアの感染を放置すると精巣上体炎や骨盤内炎症疾患などをおこし不妊の原因をつくります。
感染のリスクが高いライフスタイルの方は定期的に検査で確認することをおすすめします。
クラミジア性尿道炎は 感染後、潜伏期間1〜3週間で発症しますが、淋病とくらべると感染してからの潜伏期間が長く、発症しても軽いかゆみや痛み、膿がでるなどの不快感や違和感だけで、排尿痛もほとんど感じない場合もあります。
また、まったく症状が出ない人もいるので、感染したタイミングを確定できない相談も増えています。
患者数の推移
平成11年~令和3年の患者数の推移をグラフにしたものです。
最近10年間はほぼ横ばいで、女性の患者数の方が多かったのですが、ここ数年においては男性の患者数の方が女性をうわまってきました。 (なお、年齢別には、20-24歳の女性が多いです。)
梅毒の患者数が近年増加してきていますが、性感染症の中で性器クラミジアの患者数が圧倒的に多いと言えます。
横軸の855から988の数字は定点観測医療機関の数であり、全国におよそ18万の医療機関がありますので、実際の数字は概ね20倍と考えられます。
令和3年の定点医療機関での男女総数の患者数が、29983人ですのでこれを20倍して、年間およそ60万人程度と考えられ、梅毒は令和3年で8000人ほどです。
男女別年間報告数
平成30年~令和3年のクラミジア報告数を男女別に年代毎にグラフ化したものです。
20代の報告数が増えてきており、とくに女性では20歳から24歳の報告数が非常に多いです。若年層による性の知識不足や、不特定多数の性行為により拡大していることが読み取れます。
情報元:厚生労働省> (数値を当方でグラフにしました)無断転載禁止
男性の場合
①排尿痛や性器の痒み、サラサラとした尿道分泌液が出る
②感染した状態を放置していると精巣上体にクラミジアが侵入し、睾丸全体が膨れて痛みだすことも
症状が引いた後でも感染が続いていて、治っていないことが多いと言われているため、治っているかどうかの検査が重要になります。
肛門性交により、肛門にも感染する可能性があります。
【クラミジアの感染例】
・風俗に行ってオーラルセックスだけだったが、1週間程してから尿道にわずかに痒みが出てきた。
・パートナーが感染していることがわかり、自分は症状がなかったので大丈夫だと思っていたが、念の為検査をしてみたら感染していた。
女性の場合
①腹膜炎などの骨盤内炎症疾患などを起こし不妊の原因に
②症状:軽いかゆみや痛み、おりものの変化や不正出血。また、自覚症状がない場合も多い
感染をそのまま放っておくと、子宮頸管炎や子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎などにつながります。
ひどい場合は、臓器にまで影響を及ぼすことがあるようです。
また、感染する機会や回数が増えると不妊にもつながります。
さらに、子宮外妊娠や流産、早産にもなる原因が高くなります。
肛門性交により、肛門にも感染する可能性があります。
【参考情報】クラミジアの検査は、抗原検査(尿、膣分泌物、うがい液、肛門分泌物)と抗体検査(血液)の2種類に分けられます。
検査方法 | 抗原検査 | 抗体検査 |
---|---|---|
部位 | 性器・のど・肛門 | 特定できない |
採取 | 尿・膣分泌物・うがい液・肛門分泌物 | 血液 |
種類 | 即日簡易(迅速)検査・精密検査(SDA/PCR)・即日精密検査(TMA) | 精密検査(IgA/IgG) |
検査可能時期 | 感染機会より24時間以上経過後 | 感染機会より4週間後 |
※女性は生理中は検査ができません。生理が終わってからご来院ください。
抗体検査の結果の解釈
IgA | IgG | クラミジア抗体(IgA・IgG)の結果の解釈 |
---|---|---|
ー | ー | →感染していない。もしくは初期のクラミジア感染。 |
+ | ー | →感染している可能性がある(初期のクラミジア感染の疑い) |
ー | + | →過去感染していた可能性がある |
+ | + | →過去感染して、現在も感染状態の疑いがある(かなり前からのクラミジア感染の疑い) |
※血液検査のメリット
妊娠中に検査を行う時、母子共に安全性が保たれる。(陰部に綿棒を入れる方法は胎児にとって危険となる可能性があるため)
※血液検査のデメリット
①過去の感染でも抗体が陽性となるため、現在感染しているかどうか判断することができません。
②治療が完了して検査する場合、治癒していても持続的に抗体は陽性となるため、治ったかどうかの判定には不向きです。
③陽性の場合、性器の感染か咽頭(のど)の感染か特定することができません。
※当院では、上記デメリットを踏まえて、抗体検査は行っておりません。
男性の場合:性器に膿など強い症状が出ている方向け
女性の場合:性器からいつもと違うおりものや匂いが出ている方向け
結果:約30分後
※即日簡易(迅速)検査は、精密検査に比べて精度が劣るため、当院では簡易キットでの検査は行っておりません。
症状がなくても検査可能
通常検査会社に検査を委託して行う方法、但し医療機関によって異なる。
結果:2〜7日後
即日精密検査(TMA法)
症状がなくても検査可能
医療機関内で専門の機器を備えて検査をする。
【結果】
前半診療受付:当日の夕方以降に判明
後半診療受付:翌日の昼12時までに判明
遺伝子による核酸増幅法の種類
PCR法とTMA法いずれも精度の非常に高い検査です。
・PCR法
二重螺旋構造になっているDNAを熱により分解。
分解された部分に酵素がくっついていき、DNAを伸ばして増幅して行く方法。・TMA法
1つの細胞に1個しかないDNAの遺伝子ではなく、数千個存在しているrRNAの遺伝子をターゲットにする。ターゲットとなったrRNAに酵素がくっついてDNAの合成と分解を繰り返し、RNAを増幅させていく方法。
※当院ではクリニックに隣接する登録衛生検査所にて、TMA法を用いて即日精密検査をおこなっています。
迅速即日精密検査(TRC法)
即日精密検査(TMA法)より早く結果が判明します。
検査結果:最短2時間 再検査時4時間〜翌日
※受付時間に制限あり (平日18時、土日祝16時まで)
※メンズ・レディースセットの確認検査はTMA法のみ
※追加で3,300円費用が発生します。
・TRC法
定温度で核酸(RNA)を増幅する転写-逆転写の協奏的反応と、増幅された核酸と結合することで 蛍光を発するプローブというものを使用する反応を組み合わせた方法。
従来の方法に比べ、一定の温度で転写-逆転写反応が連続的に進行するため標的核酸の迅速な増幅が可能であり、 TMA法と同様にRNAを標的としているので高感度な検出も可能である。
部位別検査方法
性器クラミジア検査
男性の方は、尿を採取しておこないます。
女性の方は、綿棒を使用して膣からの分泌物を採取しおこないます。
※膣の検査は、自己採取もしくは医師による採取をお選びいただけます。
※女性は生理中は検査ができません。生理が終わってからご来院ください。
咽頭クラミジア検査
生理食塩液(食塩水またはミネラルウォーター)20~40mlを15秒間、うがいしていただきます。
※のど:咽頭クラミジアについては、こちらで詳しく記載してます。
肛門クラミジア検査 >
肛門クラミジアの精密検査は、肛門からの分泌物を採取します。
細い綿棒を数センチ肛門に入れるだけですので、身体のご負担は最小限です。
※検体はご自身で採取していただきます。
抗生剤を処方します
マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗生物質を使用します。
服用期間は薬の種類によって異なりますが、1週間程度で終わる場合がほとんどです。
適切な抗生剤を服用した場合でも、耐性菌と呼ばれる抗生剤が効かない菌だった場合などがあり、完治する確率は100%ではないため、治ったかどうかの検査は、とても重要となります。
※当院では治ったかどうかの検査は、治療後4週間以上あけてからをおすすめしています。
これは、当院で行っているような遺伝子を調べる検査は、非常に精度が高いため、すでに治っているのに、死んだ菌をひろってしまい、結果が陽性と出ることがあるため、非常に重要なことです。
クラミジアは主に、菌が存在する場所(目・咽頭・腟・尿道・肛門など)から性行為によって粘膜へ直接接触することによって感染します。
そのため、性行為(オーラルを含む)を行う際にコンドームを正しく着用することで、感染のリスクを大幅に低下させることが出来ます。
また、不特定多数との性行為は感染リスクが高くなりますので、避けましょう。
近年、クラミジアをはじめとする性感染症の予防法として、抗生物質を用いた予防内服が注目されています。
主な方法として、Doxy-PEP(ドキシペップ)とDoxy-PrEP(ドキシプレップ)があります。
● Doxy-PEP(ドキシペップ)
→リスクのある性行為後72時間以内にドキシサイクリンを内服
● Doxy-PrEP(ドキシプレップ)
→ドキシサイクリンを毎日内服
これらは、ドキシサイクリンという抗生物質を使用することで、クラミジアだけでなく淋病や梅毒などの性感染症も一定程度予防できると考えられている療法です。
しかしながら、当院では薬剤耐性菌の増加リスクや長期的な抗生物質使用による副作用の可能性などの理由から、これらの予防法を推奨しておりません。
繰り返しになりますが、性感染症の予防には、コンドームの適切な使用や定期的な検査など、従来の方法もとても重要です。
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