淋病(淋菌)

目次

 

淋病(淋菌)とは

淋病は「淋菌」という菌が原因となって発症する性感染症の1つです。

性行為(セックス、オーラルセックス、アナルセックス)などで粘膜に感染するため、とても感染しやすい病気の1つでもあります。

潜伏期間は2〜7日ほどで、感染部位は男性の場合は尿道や肛門、女性の場合はです。

※肛門淋病については、ご自身で検体を採取していただきます。

淋病に感染すると男性は主に尿道炎になり、女性は子宮頸管炎をおこします。

淋病の原因となる菌は非常に弱く、単独で存在することはできません。


男性尿道炎患者からの尿道分泌物の塗抹標本(グラム染色)  
左:淋菌を貪食している白血球(好中球)。胡麻のように見えるのが淋菌で、2 個対になっている。  
右:貪食をしていない通常の白血球。
情報元:国立感染症研究所>

したがって淋病の感染経路は必ず人から人へのものになります。

淋病はクラミジアとならんで感染している人の多い性病です。

また、1回のSEXで感染する確率は30~50%と高く、感染を放置すると重症化をおこします。

最近、淋病で一番大きな問題になっているのが、淋菌の抗菌薬耐性化になります。

これは今まで効果のあった抗菌薬に対して淋菌が抵抗力を持つことを意味しています。

抗菌薬耐性化が進むと淋菌に対して使える抗菌薬がなくなり、淋病の治療が近い将来では非常に難しくなることを示しています。

当院による淋病
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情報元:CDC>

 

患者数の推移

平成11年〜令和3年の患者数の推移をグラフにしたものです。

最近10年間はほぼ横ばいですが、いずれの年も男性の患者数の方が女性を大幅にうわまわっています。(なお、女性は年齢別には、20-24歳の女性が多いです。)

梅毒の患者数が近年増加してきていますが、梅毒よりも淋菌感染の患者数が圧倒的に多いと言えます。

横軸の855から988の数字は定点観測医療機関の数であり、全国におよそ18万の医療機関がありますので、実際の数字は概ね20倍と考えられます。

令和3年の定点医療機関での男女総数の患者数が、10399人ですのでこれを20倍して、年間およそ21万人程度と考えられ、梅毒は令和3年で8000人ほどです。

情報元:厚生労働省> (数値を当方でグラフにしました)無断転載禁止

 

症状

男性の場合

  • ■尿道に違和感、痒みがある。
  • ■尿道炎によって激しい尿道痛といった症状が生じる。
  • ■性器から黄白色のドロっとした膿が出る。
  • ■進行すると精巣上体炎といった病気を発症。

①尿道の違和感やかゆみ、激しい排尿痛、黄白色のドロッとした膿が出る

②進行すると、精巣上体炎といった病気を発病

自覚症状がはっきりしていて、尿道炎による激しい排尿痛を訴えます。但し、最近は症状がはっきりしないこともあります。

感染を放置していると、男性不妊に繋がることもあります。

症状が引いた後でも感染が続いていて、治っていない可能性があるため、治っているかどうかの検査が重要となります。

肛門性交により、肛門にも感染する可能性があります。

【淋病の感染例】
・不特定多数の女性と性行為をしてから、4〜5日ほどして排尿時に違和感、しだいに痛みが強くなってきた。
・海外で遊んでしまい、帰国後に猛烈な尿道の痛みに襲われ、膿も出てきた。

 

女性の場合

  • ■初めはあまり症状がないですが、進行すると卵管炎・腹膜炎・肝周囲炎といった病気が発症します。
  • ■妊娠中の方の感染はとても危険です。

①腹膜炎などの骨盤内炎症疾患などを起こし不妊の原因に

②症状:膿のようなおりものなどの、おりものの変化、違和感。また、自覚症状がない場合も多い

妊娠中に淋菌に感染すると流産や骨盤内感染症、早産、破水の原因になってしまうことがあります。

肛門性交により、肛門にも感染する可能性があります。

 

淋菌感染症を放置すると男性は精巣上体炎、女性は骨盤内感染症になって不妊の原因になります。 詳しくは、下図でご確認ください。

検査方法と検査ができる時期

淋病の検査は、抗原検査(男性:尿または膿、女性:膣分泌物、男女共通:うがい液、肛門分泌物)となります。

検査方法 抗原検査
部位 性器・のど・肛門
採取 尿または膿・膣分泌物・うがい液・肛門分泌物
検査の種類 即日簡易(迅速)検査・精密検査(SDA/PCR)・即日精密検査(TMA)
検査可能時期 感染機会より24時間以上経過後

※女性は生理中は検査ができません。生理が終わってからご来院ください。

即日簡易(迅速)検査・精密検査・即日精密検査の違い

即日簡易(迅速)検査/簡易検査キット「イムノクロマトグラフィー法」による方法

男性の場合:性器に膿など強い症状が出ている方向け

女性の場合:性器からいつもと違うおりものや匂いが出ている方向け

結果:約15分後

即日簡易(迅速)検査は、精密検査に比べて精度が劣るため、当院では簡易キットでの検査は行っておりません。

精密検査(SDA法やPCR法)

症状なしでも検査可能
通常検査会社に検査を委託して行う方法、但し医療機関によって異なる。

結果:2〜7日後

即日精密検査(TMA法)

症状なしでも検査可能
医療機関内で専門の機器を備えて検査をする。

【結果】
前半診療受付:当日の夕方以降に判明
後半診療受付:翌日の昼12時までに判明

遺伝子による核酸増幅法の種類

PCR法

二重螺旋構造になっているDNAを熱により分解。
分解された部分に酵素がくっついていき、DNAを伸ばして増幅して行く方法。

TMA法

1つの細胞に1個しかないDNAの遺伝子ではなく、数千個存在しているrRNAの遺伝子をターゲットにする。ターゲットとなったrRNAに酵素がくっついてDNAの合成と分解を繰り返し、RNAを増幅させていく方法。

※当院ではクリニックに隣接する登録衛生検査所にて、TMA法を用いて即日精密検査をおこなっています。

 

迅速即日精密検査(TRC法)

即日精密検査(TMA法)より早く結果が判明します。

検査結果:最短2時間 再検査時4時間〜翌日
※受付時間に制限あり (平日18時、土日祝16時まで)
※メンズ・レディースセットの確認検査はTMA法のみ
※追加で3,300円費用が発生します。

TRC法
定温度で核酸(RNA)を増幅する転写-逆転写の協奏的反応と、増幅された核酸と結合することで 蛍光を発するプローブというものを使用する反応を組み合わせた方法。

従来の方法に比べ、一定の温度で転写-逆転写反応が連続的に進行するため標的核酸の迅速な増幅が可能であり、 TMA法と同様にRNAを標的としているので高感度な検出も可能である。

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クラミジア、淋病
における即日検査とは? >

 

肛門淋病検査

肛門淋病の精密検査は、肛門からの分泌物を採取します。
細い綿棒を数センチ肛門に入れるだけですので、身体のご負担は最小限です。

※検体はご自身で採取していただきます。

あおぞらクリニックでは、問診料や再診料は頂いておりません。

患者様のご負担は、検査料金とお薬代のみです。

治療方法

抗生剤の点滴(30分)

合併症等が無い場合には、通常は1回の点滴で治療が終了します。

また、クラミジアなど他の菌に感染していることも少なく無いので、その可能性を考えて飲み薬の抗生物質を併用する場合もあります。

 

確認検査(治ったかどうかの検査)について

適切な抗生剤を服用した場合でも、耐性菌と呼ばれる抗生剤が効かない菌だった場合などがあり、完治する確率は100%ではないため、治ったかどうかの検査は、とても重要となります。

※当院では治ったかどうかの検査は、治療後4週間以上あけてからをおすすめしています。

これは、当院で行っているような遺伝子を調べる検査は、非常に精度が高いため、すでに治っているのに、死んだ菌をひろってしまい、結果が陽性と出ることがあるため、非常に重要なことです。

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予防方法

淋病は主に、菌が存在する場所(目・咽頭・腟・尿道・肛門など)から性行為によって粘膜へ直接接触することによって感染します。

そのため、性行為(オーラルを含む)を行う際にコンドームを正しく着用することで、感染のリスクを大幅に低下させることが出来ます。

また、不特定多数との性行為は感染リスクが高くなりますので、避けましょう。

予防薬

近年、淋病をはじめとする性感染症の予防法として、抗生物質を用いた予防内服が注目されています。
主な方法として、Doxy-PEP(ドキシペップ)とDoxy-PrEP(ドキシプレップ)があります。

Doxy-PEP(ドキシペップ)
→リスクのある性行為後72時間以内にドキシサイクリンを内服

Doxy-PrEP(ドキシプレップ)
→ドキシサイクリンを毎日内服

これらは、ドキシサイクリンという抗生物質を使用することで、淋病だけでなくクラミジアや梅毒などの性感染症も一定程度予防できると考えられている療法です。

しかしながら、当院では薬剤耐性菌の増加リスクや長期的な抗生物質使用による副作用の可能性などの理由から、これらの予防法を推奨しておりません。
繰り返しになりますが、性感染症の予防には、コンドームの適切な使用や定期的な検査など、従来の方法もとても重要です。

Doxy-PEP
Doxy-PrEPについて>

 

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